Q.5 真・報連相を学ぶと、具体的にどんな効果効能がありますか?

【回答】
真・報連相を学ぶ組織には、次のような現象が現れてきます。たとえば、

・ 「言った、聞いてない」といった不毛な水掛け論が無くなる
・ 明るく元気の良い挨拶を、丁寧に実践するようになる
・ 自己の職場に合った「仕事の進め方のMyルール」を多く持つようになる
・ 各自が「仕事の進め方のMyルール」を見直し、工夫する習慣がつく
・ 各職場で個々人の「仕事の進め方のMyルール」が共有化され、質の高い「仕事の進め方のOurルール」が出来上がる
・ 各部署やチーム単位での自発的な勉強会や、仕事の振り返りミーティングなどが増える
・ 仕事の「目標」だけではなく、仕事の「意味・目的」をも考える・伝える習慣がつく
・ 双方向の対話が増える(下から上だけでなく、上から下への報連相も増える)
・ 仕事で関わる人々(ともに働く仲間、協力企業、お客さま など)に対する関心が高まる
・ 「一を聞いて十を知る」気の利いた人財が育つ(仕事の意味・目的を考える習慣、工夫する習慣、相手への関心が高まることによって)
・ パート、アルバイトの人たちも経営理念や職場の現状をよく理解するようになる
・ 「座右の銘」や「大切な言葉」を持つようになる

などです。これらの現象は数値化がしにくいものも多いのですが、これらの現象が意味するところはつまるところ職場風土の改善です。これが、真・報連相の直接的な効果効能と言えるでしょう。そして、真・報連相によって上記現象が生まれたことにより職場風土が良くなり、それが因果関係となって、

・離職率の低下
・クレームの減少
・職場改善のための工夫の増加

といった部分に徐々に目に見えるカタチで現れるようになってきます。すると、またそれらがまた因果関係を生み出し、

・売上の向上
・生産性の向上

に繋がっていきます。しかし、そのような売上や生産性の向上は真・報連相による職場改善だけではない部分もあります。取り扱っている商品力の強さ、市場の流行り、地理的経済的政治的状況、新たな機器の導入、などによっても売上や生産性は変化します。ですので、上がったそれらの数値を見てそれを「真・報連相によるものです!」とは言えません。それらは一概に判断できるものではないですし、そんなことを言おうものなら、真・報連相以外の部分(たとえばその組織における専門性を高めるための取り組み全般)の企業努力を無視する、とても愚かしい言動といえます。

それから、売上や生産性の話になりましたので、それらに関する真・報連相の考えについてもここで併せてお伝えいたします。

ごくたまにですが「真・報連相の効果効能(真・報連相を学ぶことのメリット)」に近いご質問で、「真・報連相を取り入れば、売上が上がりますか?」「真・報連相で、会社の数字は改善されますか?」という問い合わせをいただくことがあります。その質問に対するNHCとしての回答は「一概には言えません」です。

そうお答えしている理由は、先にお話したことももちろんその理由なのですが、実はもう一点理由があります。それは「短期的な数字の改善は〈問題解決〉ではなく〈問題対処〉の取り組みである」、という点です。

問題対処の取り組みとは、たとえば風邪をひいたときに風邪薬を飲む、といったようなものです。風邪をひいたことの表面的な問題に焦点を当て、風邪の症状を抑えることや治すために即効性を求めて対処をします。

しかしそれは、風邪に対する本質的な解決ではありません。風邪をひくことに対する本来の解決策は、「風邪をひかないようにすること、日ごろから自己の健康に意識を向けた規則正しい生活を送ること」です。そしてそんな生活習慣を面倒くさがらず、丁寧に実践できる自身の「考え方」や「心身の姿勢」が本質的な解決には欠かせません。

真・報連相を継続的に学ぶことは対処療法の考え方ではなく、問題の本質的な解決に結びつく取り組みにつながる考え方です。そして問題の本質的解決は、その問題の近くではなく遠くに起因しています。(問題に近い部分ではないので、即効性ではなく遅効性)

真・報連相はそのような問題の起因している深層部分に効果効能を発揮しますので、短期的成果の数字で真・報連相の効果効能を測りにくのは事実です。(ただ先にも少し話しましたが、真・報連相として数字で比較的見えやすいのは「離職率の低下」や、職場アンケートによる「帰属意識」、職場改善の工夫の量、などに最初にあらわれてくることが多いです)

質の高い仕事は、一人ではできません。真・報連相では、個人が仕事の進め方の質を高めるだけでなく、個人対個人の質の高い仕事の進め方の相互向上によって、組織全体の仕事の進め方の質が高まり続ける状態を目指します。そしてさらには、職場全体が「人が育ち、成果のあがる職場環境」に育つことを期待しています。